グルメ


無題(古代 真の手記より)

( アニメ「宇宙戦艦ヤマトシリーズ」 より )

※注意  このお話は、namiが「宇宙戦艦ヤマトシリーズ」を基に、趣味で妄想&創作したものです。

 

非常に短いSSです。1983年「宇宙戦艦ヤマト 完結編」の劇場公開の年に書いたものです。原稿には『1983年7月3日』と記してありました。
当時は、これが本当にヤマトとの別れだと思って、すこしばかりセンチになって書いたような気がします。

こだい しん
古代 真は、古代 進と森 雪との間にできた〔一人息子〕の設定です。
改行は読みやすいように多めに開けていますが、文字変換と文章は修正無しでUPさせていただいてますので、ご了承ください。

 


 

 

透きとおるような星々の輝きの中にいると、つい瞑想にふけってしまう。

今すぐこの大地を蹴って宇宙へ翔んでゆきたいとう衝動にかられ、僕の夢はとめどもなく拡がるのだ―――――。

 

 

僕の父は、僕がまだ1歳もならぬうちに他界した。

当時、父は、アンドロメダ調査艦「ゆきかぜ」の艦長をつとめていた。

 「ゆきかぜ」は、アンドロメダ星雲に向かう途中、異星人に遭遇した。

異星人の船は5隻。いずれも「ゆきかぜ」以上の大型戦闘艦であった。

実に不運なファーストコンタクトであった。

「ゆきかぜ」は、異星人との交信をとる前に、ミサイル攻撃を受けたのだ。

 父は、戦艦に乗っていたにもかかわらず、いっさいの応戦を制止し、ひたすら異星人との交信をとろうとしていたという。

武力対武力は、戦争という名の破壊行為に他ならない。

父のとった行動は最良の策であったが、「ゆきかぜ」は撃沈されはしなかったものの、多大なダメージを受けた。

多くの乗組員が死亡し、父もまた重傷を負った。

 誰もが父の生還をあきらめていたが、母は信じていた。

 そして父は、母の祈りにこたえるかのように、瀕死の身ではあるが、生きて地球へ帰った。

父は、自分の身よりも、とり残される僕と母のことだけを心配し、母が見守る中、静かに息をひきとった―――――。

 

 

 その後、父が遭遇した異星人・アンドロメダ人と地球人とは交流ができ、彼らはちょくちょく地球にやってくる。

母はいつも僕に“憎しみからは何も生まれない。人を愛することだけに努力なさい。”といった。

 父を殺したアンドロメダ人はたしかに憎かった。

しかし、憎しみ以上に、父がこの世にいないという哀しみの方が大きかった。

それは僕の心をおおって、離れようとはしなかった。

僕はあえて父と同じ道を歩もうとはしなかった。

決して宇宙へは出まい・・・・・そう密かに誓っていた。

 

 

 僕が18歳になった時、母がたおれた。

ベッドの中で、母は、父が亡くなってからこの18年間、どんな想いでくらしてきたかを話してくれた。

再婚もせず、父の忘れがたみの僕を大切に育ててくれた母は、本当に父を愛していたのだった。

 息をひきとるまぎわ、母は天を仰いでこうつぶやいた。

―――――やっとむかえに来てくれたのですね、あなた―――――

 もう40歳をすぎていたのに、その時の母は、少女のようにあどけなく、美しかった。

父によりそってほほえんでいるあの写真と同じ母だった。

高くさしのべられた母の手は、やがて力つきるようにして落ちた。

母は父のもとへ帰っていったのだ。

 

 僕は、母と、母がおしえてくれた父のことを永久に忘れない。

 

 

 あと3年もすれば、僕は写真の父を追い越してしまう。

その日が近づくにつれ、僕の心はゆれ動く。

父の意思を継がずにはおれなくなる。

あの哀しみは、もはや僕の心から去り、僕は時が来るのを待ち望んでいる。

 

 そう・・・そのときが来たら、僕は旅立つだろう。

僕の愛する女性(ひと)フレアとともに。

僕の父や母が生きたところ、そして我々人類の真の故郷となるべきところ・・・宇宙へ―――――!

 

 シン
AD.2224    古代 真

 

 

 

 

 

by nami  1983.7.3

 

 

 

 

≪参考資料≫

宇宙戦艦ヤマトシリーズ(T・V版 劇場版)

宇宙戦艦ヤマト 完結編 他

 


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